子供の送り迎えカブトムシ

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未来の日本は超少子化で、特に私立の幼稚園や保育園では、広域から園児を集めるために送迎バスが必須だ。
ただ自宅に送り迎えするだけでは駄目で、子供に絶大な人気のあるバスを仕立てないとスムーズに乗ってもらえない。
そこで、夏に満を持して登場するのがカブトムシ型の昆虫バスだ。
外観は、兜のような硬い甲羅を持つカブトムシの形をしており、軽くて丈夫な炭素繊維でできている。そのため万が一、路上で車両事故に遭っても、びくともしないので安全だ。
また、普段は地上の道を走行するが、交通渋滞やゲリラ豪雨によって洪水となりそうなときは、空飛ぶ昆虫バスとなってトラブルを事前に回避する。
ただ、カブトムシの習性まで忠実に再現してしまった昆虫バスは、樹液の匂いがすると、その山林へと引き寄せられるように飛んでいってしまうのが玉に瑕だ。
さらに飽きやすい性格が多い子供のため、秋には赤トンボ型の昆虫バスがスタンバイしている。
SF
公開:20/09/04 19:45
スクーのお題 「子供の送り迎えカブトムシ」 幼稚園 保育園 園児 送迎バス 昆虫 炭素繊維 交通渋滞 ゲリラ豪雨

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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