半額シール

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値引きシールの貼られる頃を、見計らって来る客は多い。シールを持ち店員が、バックヤードから出てくる。すでに売り場には、おばちゃん達が構えている。先ず20%引きシールを貼って売れ行きを見る。

「兄ちゃん、半額にならへんの」早速おばちゃんが声を掛ける。「ズーット待ってんねん」店員は困り顔だ。今、買えよと喉まで出かかるが「いきなり半額はキツイですわ」と笑顔で返す。「いつなんの」「残ってたら、閉店前の9時頃かなァ」
真逆それまで粘るつもりは無いやろう。商品毎に基準があり、賞味期限が近付くにつれて20%引き・30%引き・半額とシールを貼り替える。決して店員の気ままで貼ってる訳ではない。残れば廃棄となり実損だ。

ある時おばちゃんが、余りにも話しかけるので、店員は混乱してしまい貼ってはならない国産鰻の蒲焼きに半額シールを貼ってしまった。見る間に完売したのは言うまでもない。おばちゃん、やるなー!完敗だ!
ファンタジー
公開:20/09/04 19:25
更新:20/09/12 17:52

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