キャッチャー・イン・ザ・レイジ

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銃声が轟いた。「天国と地獄」のメロディが流れ出す。僕は袋を手に、母親のもとへ走った。
「母さん! 日頃の恨みをぶちまけるんだ!」
「嫌よ、恥ずかしいから」と母。
「聴いてないから早く!」
袋の口に向かって、母は何やらを叫んだ。僕は袋の外側にスマートフォンのマイクを押し当て内容を録音した。
「スマホ、貸して!」
「あなた、自分のがあるでしょう」
「電池、切れちまった」
僕は母のスマートフォンから父親へ電話を繋いだ。
「どうした?」
「父さん、これ聴いてくれ」
僕は録音していた音声を流した。あまりの内容に持つ手が震えたが、もう遅い。
父の叫び声がスピーカーから飛び出し、僕はすかさず袋を押し当てる。

鋭い笛の音が鳴った。
長テーブルの上に、袋が並んでいく。
審査員の判定が始まった。里美の方を見る。隣には有名な頑固爺が立っている。

「今年は勝つ」
二つの堪忍袋を見比べながら、僕はひとりごちた。
青春
公開:20/09/04 07:00
更新:20/09/03 16:07
空想競技

レオニード貴海( 某海なし県 )

さまようアラフォー主夫

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