電子に溶けた

シナプスのように繋がっていく。
ソーシャルネットワーキングサービスに紛れ込んだ時はたった1人だった。
一声、二声。何となく話しかけた。
それがいつの間にか繋がって、化学式のようになった。
どんどん枝分かれて森になる。
どんどん取り憑かれて樹海に迷い込む。

この世の光だけを集めた。
独特の世界観を淡々としたためた。
自分の頑張りを綴った。
深い闇で足さえ動かせなくなった。
そんな小窓を眺めて歩くインターネット。

ネットワークの細い糸は張り巡らされてこんがらがっている。
皆が繋がりたくてぶら下がる蜘蛛の糸。

－僕のように回路の世界に溶け込むのはどうだろう？－

好きな人も友人も家族さえもこの手の中。
この電子の世界なら。


2×××年。
希望者は電脳世界に移動出来るようになった。
脳に電極を刺され、体が朽ちたとしても永遠の命を手に入れられる。
病んだ若者や強欲な権力者に、とても人気だ。