くるまたちのパレード
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彼が眠りにつくと、昼間さんざん遊んだ大好きなくるまたちが、いそいそと夢の中でパレードを始める。白い、黄色い、ランプ、ショベル、とりどりの個性をみせつけるように練り歩く。
くるまたちは、我先にと自分の名前を覚えてほしがっている。
この小さな戦いを、彼のママも手に汗握りながら見守っている。そして無意識にお片付けの際、暫定1位をおもちゃ箱の一等地に並べたりする。彼の寝顔がよく見える場所だ。無論、日中は小さな手に握られっぱなし、という特権つき。
彼の眠りが浅くなったちょうどその時、外からサイレンの音が聞こえた。むくり、と起き上がった彼はまぶたを半分だけあけて「‥‥あ。おっ。」と、窓の外を指差すと、すぐにぱたりとうつ伏せに倒れた。
くるまたちは、「これは今夜の優勝はこいつだね」と思い、救急車を先頭に押し上げて、もう一度パレードを始めるために隊列を組んだ。
パパが歌い上げる、軽やかなBGMにのって。
くるまたちは、我先にと自分の名前を覚えてほしがっている。
この小さな戦いを、彼のママも手に汗握りながら見守っている。そして無意識にお片付けの際、暫定1位をおもちゃ箱の一等地に並べたりする。彼の寝顔がよく見える場所だ。無論、日中は小さな手に握られっぱなし、という特権つき。
彼の眠りが浅くなったちょうどその時、外からサイレンの音が聞こえた。むくり、と起き上がった彼はまぶたを半分だけあけて「‥‥あ。おっ。」と、窓の外を指差すと、すぐにぱたりとうつ伏せに倒れた。
くるまたちは、「これは今夜の優勝はこいつだね」と思い、救急車を先頭に押し上げて、もう一度パレードを始めるために隊列を組んだ。
パパが歌い上げる、軽やかなBGMにのって。
ファンタジー
公開:20/09/02 23:04
森絵都さんの『ショート・トリップ』が大好きです。
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