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歳の離れた妹は本当に可愛かった。無邪気でお転婆、それにひどい方向音痴でよく迷子になっては泣いていたっけ。

そんな妹が亡くなって、二年。枕元にすら立ってくれないのは、「最期はお姉ちゃんの腕の中で」そんな願いを叶えてやれなかった私を恨んでいるのだろう。

そんな思いを巡らせている内に、私は画廊に飾られた一枚の絵の前に立っていた。それが、あんまり妹にそっくりなので思わずモデルは誰かと尋ねると絵描きは実に言いにくそうである。
「ごめんなさい、亡くなった妹にそっくりでつい」
すると彼は「あなたがお姉さんですか」と急に泣きついてきた。どうやら毎晩妹にお姉ちゃんに会いたいと騒がれて困っていたらしい。

そっか私を恨んでいる訳じゃなかったんだ。

「だけどどうしてあなたの所に?」
「それが道に迷ってお姉さんの家が分からないって」

ああもうなんてあの子らしいんだろう。
お姉ちゃん、今、迎えに行くからね。
ファンタジー
公開:20/09/04 00:22

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