ききざけ王決定戦2020

崇がききざけに参加したのは和風居酒屋バイトを始めてさけに興味を持ったからだ。

「コロナ対策のため第１部は箱を使います」と係員の声。さけが置いてあるはずのテーブルの上には何もなく、かわりに箱が５つ並んでいる。穴から中を覗くとキラキラ輝くさけからふくよかな香りが漂った。

しばらくして係員が「第２部開始」と箱を開けると、マスクのさけが次々に立ち上がり籠る声で自己紹介を始めた。
―あー、きこえますか。初めまして。北海道からきました。最近ロシアにいます。
―初めまして。私は東北生まれです。私事ですが最近婚約しまして。
２番のさけがほんのり赤くなる。

声だけでなく息づかい、鰓の動きからも何かききとろうと参加者らは耳をすます。崇がさけを見つめるとマスク越しにさけが微笑んだ。

ピー！回答終了の合図ととも係員がさけ達の前に墨文字のかかれた札を置いた。
１番 銀鮭 ２番 紅鮭 ３番 キングサーモン…