似たもの同士

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助手席で君は、ぼうっと窓の外を眺めていたから、僕は遠慮なく思い出に耽っていたんだ。

ここらへんには昔、違う女の子と来たことがある。

夏が終わりかけていた。クラゲが出そうだね、と彼女は海を見て言った。刺されたことあるの、と僕が聞くと、彼女は、ない、と答えた。僕は刺されたことがあったけど、それを言ったところでこの会話は終わるだろうと思って、とくに何も答えなかったら、やはり会話は終わった。

海沿いの国道。彼女と行ったレストランは既になくなっていて、沖に浮かぶサーファーたちは変わらず波を待っている。

クラゲが出そうだね、と僕は言ってみる。君は、刺されたことあるの、と呟くように言って、僕は、ない、と嘘をつく。まるで用意された台詞。シナリオ通りならこの先…。

「いや、あ・る・の!刺されたこと」


…なんなの?昔の男とまったく同じ、この展開は。やめてよ。二度と同じ轍なんか踏むもんですか。
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公開:20/09/03 22:45

糸太

400字って面白いですね。もっと上手く詰め込めるよう、日々精進しております。

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