ドルフィンキック

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 今大会から自由形が新たに加わった。いや、正しく言えば今までもあったのだが、「競技中は泳者の身体の一部が水面上に出ていなければならない」というルールがなくなり本当の意味での「自由」になったのだ。
 おれは練習に励んだ。特に呼吸法は一から学び直し、長時間でも耐えられるようになった。ここさえクリアできれば優勝は間違いない。

「よーい、ドン!」
 合図とともに飛び込み、ただひたすらに泳ぐ。やはり水の中は最高だ。場所は違えど自分の家のような心地良さ、この感覚は他の選手には分からないだろう。

「いやー、さすが!やはり本物は速さが桁違いですね!この大会に出場するにあたって一番苦労したことは何ですか?」
 試合直後のインタビュー。
「やはり陸上での呼吸ですね。レース当日は時間まで水に入ることは禁じられていますから。あと肌も乾燥して大変でしたよ」
 尾ビレを上下に振りながら、おれは得意気に答えた。
その他
公開:20/09/03 21:50
空想競技

久寓

(玖寓→久寓に変えました)

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