はげちゃびん

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登山当日、友人がリュックに古ぼけた薬缶を吊り下げて来た。何それ?
「説明は後でするから、とりあえず登ろうぜ」
友人に背中を押され、山道を進み始める。まあ、難易度の高い山じゃないからいいけどさ…

数時間後、山頂に着いた俺達は鞄を下ろす。絶景を眺め、一息ついた。
「ほい。温かいお茶」
友人が差し出した一杯を飲む。美味い…ぬるいがまるで淹れたてだ。
「これ、禿茶瓶で淹れたんだ」
はげちゃびん?
「この茶瓶だよ。ま、僕の言葉じゃこれが限界だけどね。そうだ!この茶瓶に”ハゲ!”って言ってみて」
俺は首を傾げながらも茶瓶に「ハゲ!」と言ってみた。
茶瓶はみるみる赤くなる。
おお!湯気まで出ているぞ!
「君の言葉で怒りが沸点に達したんだよ。な?面白い道具だろ?」
確かに凄いけど…俺が言う必要あるか?
「僕の”ハゲ!”は慣れちゃって熱くならないんだよ…そろそろ買い替えようと思っていたんだ。これ、いる?」
公開:20/09/03 18:48

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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