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スーパーの建物の外に喫煙所は三箇所あるので、わたしは順番に吸殻を片付けに回るのです。
残暑の厳しい九月の午後でした。バックヤードの灰皿の前で店長がタバコを吸っていました。分厚い書類を睨んで蹲っていたので、わたしは会釈だけして吸殻を片付けました。そのとき、店長の背中に毛虫がついていました。わたしは、汗染みのある白いワイシャツを這う毛虫がとてもかわいそうに思いました。続けて出入口の灰皿へ行くと、そこにも店長が蹲っていて、やはり分厚い書類を睨んでタバコを吸っていました。わたしは疑問を感じないようにと自らに言い聞かせて吸殻を片付けました。店長の背中の真ん中辺りに、薄い繭が張っていて、中で何かが動いています。わたしはその場を逃げるようにしてお客様用喫煙所へ向かうと、そこにも店長がいました。店長はお客様と雑談をして笑っていました。わたしは店長の背中を窺いました。そこには蓑虫がぶらさがっていました。
残暑の厳しい九月の午後でした。バックヤードの灰皿の前で店長がタバコを吸っていました。分厚い書類を睨んで蹲っていたので、わたしは会釈だけして吸殻を片付けました。そのとき、店長の背中に毛虫がついていました。わたしは、汗染みのある白いワイシャツを這う毛虫がとてもかわいそうに思いました。続けて出入口の灰皿へ行くと、そこにも店長が蹲っていて、やはり分厚い書類を睨んでタバコを吸っていました。わたしは疑問を感じないようにと自らに言い聞かせて吸殻を片付けました。店長の背中の真ん中辺りに、薄い繭が張っていて、中で何かが動いています。わたしはその場を逃げるようにしてお客様用喫煙所へ向かうと、そこにも店長がいました。店長はお客様と雑談をして笑っていました。わたしは店長の背中を窺いました。そこには蓑虫がぶらさがっていました。
その他
公開:20/09/02 09:57
新出既出です。
twitterアカウントでログインしておりましたが、2019年末から2020年年初まで、一時的に使えなくなったため、急遽アカウント登録をいたしました。過去作は削除してはおりませんので、トップページの検索窓で「新出既出」と検索していただければ幸いです。新出既出のほうもときおり確認したり、新作を挙げたりします。どちらも何卒よろしくお願いいたします。
自己紹介:「不思議」なことが好きです。
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