コーヒーゼリーの香り

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情事を思い出す度にシーツを思い出すのは何故でしょう。
白い波に飲み込まれて、揺蕩って、包まれる。
1人で溺れていたと不安に手を伸ばせば、確かな温もり。

古めかしいホテル
ちょうどいいお値段
現実感がほどよくある

そんなちっぽけな場所で迷子になり、出会う。

『あぁ、僕達
出会うべくして出会ったんだ』

なんの芝居の台詞だったっけ。

とにかく洗面台のほうの照明の光に浮かび上がる横顔が良かった。
部屋は暗くて音楽もつけない。
ただシンプルにふたりぼっち。
薄暗闇で少し寝入ってしまう瞬間が愛しかった。

私の吸ってたブラックデビル。
あなたの吸ってた電子タバコ。
吸殻さえも寄り添っていた。

私達の残滓が脳裏をかすめる度に、1本手に取る。
最近出たアークティックメンソール。
昔と同じモカバニラはもう吸わないんだ。
メンソールが効いた紫煙と共に吐き出しても、胸のしめつけは甘いままだけども。
公開:20/09/02 00:04

雨森れに( 東京 )

色合いの綺麗な物語を紡ぎたい。
シーンごと切り取られた刹那。
不思議、恋愛、ファンタジー、怪談、純猥談などをチラホラと。
中身はお酒が好きなアグレッシブ。

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