重荷リフティング

まさかテレビ越しに再会できるなんて。世界一を決める華々しい舞台なはずなのに、アップで映し出されたあの人はとても苦しそうだった。

5th weight…563pts!

電光掲示板の表示に会場がどよめいた。暫定1位だったモッツを上回り二連覇を達成。実況は快哉を叫んでから、5回目の試技について解説を始めた。

なるほど。あの人が持ち上げたのは、間違いなく私の抱えていた重荷だ。ああ、優しい声だったな。一人で背負い込むなよ、俺がいるだろ…。すでに4人分も引き受けていたとは思えない、あの笑顔が蘇る。

にわかに会場が騒がしい。モッツ陣営が審判団に詰め寄り、得点の水増しを訴えている。馬鹿言うんじゃないわよ。ルールなんか知らないけど600は堅いわ。ほら、あの人、あんなにホッとした顔して。

「タイトルホルダーとしての重圧は、やはり大きかったです」

インタビューの後、モッツの繰り上がり優勝が決まった。