空想のともだち

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 わたしには、エリカというともだちがいる。
 ままごとも、おにごっこも、お人形さんごっこも、ぜんぶエリカといっしょにやる。
 だけど、ほかのひとがいると、エリカはわたしにはなしかけない。
 わたしももう六さいになる。わたしはきづいている。たぶん、エリカってほんとうはいないはずのおともだちなんだ。きっとわたしはおとなにならなきゃいけない。

「エリカ、もうさよならだよ」
 ある夜、わたしがベッドの中で、口にすると、エリカはわんわんと泣き出した。
「さよならはいやだよ」
「ごめんね。ばいばい」
 わたしはエリカに手をふった。はずだった。
 わたしの手は、どろっととけていた。きづくと、手だけじゃなく、足や、かおも、おなじように。
 やがて、わたしのからだは、エリカのなみだにとろけていく。
 さいごにのこった耳に「さっちゃん、ばいばい」という声がとどく。
 まっくらになって、わたしは消えた。
ホラー
公開:20/09/01 21:12

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