空想のともだち
2
4
わたしには、エリカというともだちがいる。
ままごとも、おにごっこも、お人形さんごっこも、ぜんぶエリカといっしょにやる。
だけど、ほかのひとがいると、エリカはわたしにはなしかけない。
わたしももう六さいになる。わたしはきづいている。たぶん、エリカってほんとうはいないはずのおともだちなんだ。きっとわたしはおとなにならなきゃいけない。
「エリカ、もうさよならだよ」
ある夜、わたしがベッドの中で、口にすると、エリカはわんわんと泣き出した。
「さよならはいやだよ」
「ごめんね。ばいばい」
わたしはエリカに手をふった。はずだった。
わたしの手は、どろっととけていた。きづくと、手だけじゃなく、足や、かおも、おなじように。
やがて、わたしのからだは、エリカのなみだにとろけていく。
さいごにのこった耳に「さっちゃん、ばいばい」という声がとどく。
まっくらになって、わたしは消えた。
ホラー
公開:20/09/01 21:12
ログインするとコメントを投稿できます