2020年10月21日

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 2020年10月21日。
 この日は私にとって特別な日だ。小さいころ、占い師に言われた。「この日に、あなたは大事なものを失うのだ」
 
 ついにその日が近づいてくると、両親や一つ下の妹にも強い口調で訴えた。 
「10月21日は、安全なところに逃げるんだ!」 
 私の焦りとは裏腹に、その日は近づいてくる。

*** 
 
 時計の針は、零時を示す。10月22日になったのだ。暗い地下室に身を潜めていた私は、深く溜息を吐いた。 私は両親に電話する。無事だったようだ。それから、妹にも。電話がうまくつながらなかったので、ラインでかけなおす。
「もしもし」妹は暢気な声を出す。 
「無事だったのか?」
「うん。こっちは平和だよ」
「こっち?」
「お兄ちゃんがすごい剣幕だったから、日本危ないのかなと思って、アメリカまで逃げちゃった!」
 アメリカ。私の血の気が引く。
 時差。あっちはまだ10月21日だ。
ホラー
公開:20/09/02 20:30

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