恋愛管理局

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「弓矢の腕、落ちたんじゃないのか?」
嫌味な顔をした営業部1課の同期が颯爽と飛んで行った。

デート日和のアーケード街で獲物を定めている俺は『恋愛管理局営業2課』配属の営業キューピッドだ。
友人は警備局や放送局に就職したが、弓矢の得意だった俺は当局一本で就職した。
だが、上には上がある。
その癖、この国は少子高齢化とやらで若者の数が減っているから出世レースが激しい。畜生。
それより今月もノルマ未達だったら4ヶ月連続になってしまう。何かいい手は…

はっとした彼は、苦肉の策で営業ルールの盲点を突いた。
先ず動きの遅い老人を狙い、次いで若い異性に弓を放った。
また別の方向を見ては、同性同士でも構わず的にした。
「こんな事をして何と言い訳をしようか…そう言えばこの辺はお台場シティとか言ったな」

帰局して『“diversity”の普及です』と説明したら上司も納得。
焦心一転、彼の昇進の日も近い。
恋愛
公開:20/09/05 18:00
更新:20/09/04 22:08

まのじゅん( 神戸 )

まのじゅん/間野 純
神戸市在住の26歳
執筆は2020年春ごろから

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