ハロウィン杯

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 お化けに仮装してナンバーワンを決めるハロウィン杯。仮装するお化けの国籍は不問。俺はチケットが当たったので昼間から酒飲んで観戦中だ。
「さて! 最終審査の結果が出ました! 皆さんとても怖いですねぇ、ゾクゾクして私も凍えてしまいそうです!」
 選手達が並ぶ。
 太陽なんて怖くないドラキュラ、お洒落してきた座敷童子、呪い殺すのが得意なお岩さん、無駄にデカいフランケンシュタイン、マスクは顔の一部です口裂け女、真夏は灼熱のミイラ男、勝ち確と笑うぬらりひょん、昼間なのにオオカミ男、天然クーラー雪女、飛べないけど天狗。皆上手に仮装している。
「優勝者は! 雪女の仮装をしている……ああ、なるほど」
 スポットライトの先に雪女の選手の姿がない。突然、凍えてしまいそうに冷たい風が吹いた。吹雪!?
「何だ?」
 何かの演出か? 俺は手元のパンフレットを見た。背表紙にわりと大きく『本物、出場可』と書いてあった。
その他
公開:20/08/31 19:44
空想競技

深月凛音( 埼玉県 )

みづき りんねと読みます。
創作が大好きな主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
猫ショートショート入選『ミルク』
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞『ハチ公、旅に出る』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[節目]入賞『私の母は晴れ女』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[縁]ベルモニー賞『縁屋―ゆかりや―』

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