死神

順風満帆な儂の人生。しかし７０を過ぎた頃、そこに暗雲が立ち込めてきた。
我が屋敷に幽霊が出るようになった。…いや、あれは幽霊ではなく死神だ。アイツに触れられた者は皆死ぬ。
だから儂は身代わりを立てるよう考えた。屋敷の半分を病院に改築した。
くそぅ…この家を乗っ取るに儂がどれだけ苦労したと思っている！病弱な地主の娘と政略結婚をし、病死に見せかけ殺し、その後の根回しにどれだけ苦労したと思っている！死んでたまるか！
だが死神が出るとの噂は徐々に広まる。ついに誰もいなくなり、困った儂は庭師の爺を住まわす事にした。

ある夜、その爺の元に死神が現れるのを見た。爺は怖がるどころか喜んでいた。
『桜お嬢様…お会いしとうございました…』
『茂…遅くなりました。今度こそ天国で添い遂げましょう』
死神は爺に触れ、命を奪った。その日から屋敷に死神が出る事はなくなった。

その日から屋敷に幽霊が出るようになった。