すっぱい葡萄の木

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「あの葡萄はすっぱくて、とても食えたもんじゃない」
 狐のその言葉を――しかし、狸は信じませんでした。
(騙されないぞ。きっと、ほっぺたが落ちるほど甘くて美味しいに違いない)
 狸は、葡萄の木に登ろうと決心しました。
 木登りの技術を磨き、知識を深めます。葡萄は木の頂上にあったため、滑り落ちないように準備をし、練習と努力を重ねました。
 そして、ついにやり遂げました。夢にまで見た葡萄。狸は恍惚とした表情で手を伸ばし、実にしゃぶりつきます—―
「すっぱい!!!」
 あまりのすっぱさに、狸は足を滑らせました。身につけた知識も技術も、重力には抵抗できません。
「ほら、すっぱかっただろう?」
 落ちた先には、柔らかい感触。気付けば、優しく微笑む狐の顔が目の前にありました。先駆者の彼は、すでに同じ失敗をしていたのかもしれません。
 こうして、狸は一つ賢くなり、狐はまた一つ優しくなったそうです。
ファンタジー
公開:20/09/01 19:13

ぢろ吉郎


11/4~11/13の期間、「勝手に秋のお茶漬けデー」と題しまして、お茶漬けの物語を投稿中!(ストーリーに繋がりはありません)
11/4:「御茶ノ漬駅へようこそ」
11/5:「茶漬湖の底へ」
11/6:「神々しきお茶漬け」
11/7:「お茶漬け勇者の箸と匙」
11/8:「茶漬中毒」
11/9:「米どころ、茶漬けの祟り」
11/10:「茶が先か、卵が先か」
11/11:「檻の中。お茶漬けと一人」
11/12:「お茶漬け博物館」
11/13:「明日のお茶漬け」
お茶漬け、完結。充実したお茶漬けデーになりました……!
Twitter、ゆった~りと更新予定です。
https://twitter.com/dirokichiro?s=09

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