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死んでやろうと思った。
何となく。
けど、その決心は強かった。
私は吸い込まれるように路地裏へ入った。
そこには、自殺用品店があった。
中へ入ると、「いらっしゃい。」店主が声をあげた。
「何でもあるよ。」
「じゃあ、ナイフはありますか?」
「もちろん。」
そういって、カウンターの後ろの部屋に入り、しばらくして、赤茶けたナイフを手に戻ってきた。
「今あるので一番いいのはこれだね。」
「痛そうですね。何とかなりませんか。」
「ならないね。今ここで苦しまないと、向こうで滅茶苦茶に嬲られる。」
私は散々迷った挙句、それを買うことにした。
「毎度あり。」

自殺に2回目はないと思いながら、私は忽然と消え失せた店跡で、喉目がけてナイフを突いた。喉奥から血が溢れ出し、息がごぼごぼ鳴る。今度は横に持ち、咽喉を裂くように手を動かした。
花が咲いた。蝶も。いた?
それから後の記憶は、
ない。
公開:20/08/31 14:45

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