なかまはずれはだあれ

「だいこん、きゃべつ、すりっぱ、おにく、たまご」
遊びながら学習出来る幼児向け問題集を娘がやっていた。イラストの中から「仲間外れ」を見つけるというものだ。答えはすりっぱと、娘が大きく丸で囲った。
母親がキッチンでご飯を作りながら、娘の様子をちらっと見る。一人でやっと遊べるようになってきたとほっと胸を撫で下ろす。

「ママ、ぜんぶできた！ 見て！」
「もうちょっとで出来るから、画用紙にお絵かきしててくれるかなあ？」
「うん、わかった！」
何かを画用紙に描き始めたのを確認すると、包丁を握り直した。鍋に具材を入れ蓋をし、弱火でことこと煮る。
「お友達一杯描いたね？ これは何を描いたの？ 一つだけ大きい丸で囲ってあるの」
灰色と薄い橙色でぐるぐると描きなぐってある絵を指差す。
「これ？ にんげんだよ」
「テレビで見たの？」
「そとでみた」
娘は大人には見えないものが視えるらしい。