フォレストボール

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鬱蒼とした密林。鳥の囀り、獣の遠吠えが不気味に響く。デコボコとした足場の悪さも競技としての難易度、戦略性を高めた。木の間を針の糸を通すようなパスが通り、鹿の群れが逃げ、栗鼠が木の上を器用に渡りながらボールの行方を見守る。猿が茶化すように騒いでいる。パスを胸でトラップした日本代表の小林が周りを見渡す。さながらスタジアムの大歓声の様な森のざわめきが、小林の背中を押した。
森林を舞台としたフォレストボール。ルールはサッカーと同じ、但しサドンデス方式をとる。点が決まれば即終了。現在、アマゾンの60%を有するブラジルが王座に君臨していた。
小林選手から、猪の群れに紛れたブラジルのウズ選手がボールを奪う。
(残念、ジャップ。森は俺たちの庭なのサ。)
シュートが無情にも日本のゴールに突き刺さる。
しかし、瞬間、ウズの背後から茂みに隠れた日本選手が姿を表す。
「オフサイド!無効点です。」フラッグが上がる。
その他
公開:20/08/31 10:29
空想競技2020

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