樹海公園ーボーダー 後編

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親分が、ぐううと声を漏らす。
「大事な商売道具に手を出すなら身請け料を払えって言ったのに足りないんだよねぇ」
金髪が哲司の腹を蹴る。
「もう、止めなさいよ」
美咲を親分が止める。
「哲司が君達のシマを荒らしたのは申し訳なかった。残りの金も払う。それで手打ちにしてくれないか」
「土下座なんて!」
美咲が親分の肩に手を乗せた。
「話が早いね、でも残念だなあ。あ、何だよ」
大男が金髪の腕を引く。
「ねぇ、本当に公園だ思う?」
滑り台は泥と沢山の骨の塊に、ブランコはロープに蔦や衣類が絡むごみ屑になった。
「人ってね、見たいようにしか見ないのよ」
「親分、お車の所まで一緒に行きましょう」
鈴木が哲司をお姫様抱っこして歩き出す。
「おい!!」
金髪と大男は何かに足を取られていた。

「私達はここから出られないから」
親分は深々と頭を下げた。悲鳴が風に吹き消されいつもの樹海に戻った。
ホラー
公開:20/08/30 15:08
樹海公園 ボーダー後編

射谷 友里

射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。

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