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「なんで今更そんなこと言うんだよ」
これ見よがしに深刻な顔をしたイケメンの男が言った。
「きっと、わかってもらえないと思って」
下を向いたまま、韓流ヘアの爽やか系男子が応える。
「だけど、もう、我慢できなかったんだ。ずっと、いつかは言わなきゃって思ってた」

二人は場所を移した。


高い天井の部屋。二人の他には誰もいない。照明は点けたままだ。

両人とも、互いに目を合わせたまま、黙って両手に薬品を塗りつけていく。

「いくぞ」
「うん」

名状し難いグロテスクさのある、その独特な突起物を握りしめ、荒い息を吐きながら二人は一歩ずつ、だが着実に、その高みへと登っていく。

長いようで、それは一瞬の出来事だ。

「ユキヒロ、も、もうダメだ」

「スグル!」

「ユ、ユキヒロ! っつ、ああ!!」


テレビの画面を見ながら、僕は思った。

誰なんだ、ボルダリング・ラブなんてジャンルを始めたのは。
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公開:20/08/31 07:00

レオニード貴海( 某海なし県 )

さまようアラフォー主夫

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