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箱根駅伝で悲願の往路優勝を目指す緑山学院大学は、芦ノ湖の湖畔に専用グラウンドと合宿所を設けた。
部員たちは日夜、擬似コースで練習するなどトレーニングに余念がない。特に往路五区の箱根の山越えは、往路の最大のポイントでありクライマックスでもある。上りが得意な歴代の山の神を生み出し、彼らが繰り広げる激しいデッドヒートは、正月早々手に汗握る見どころの連続だ。
そこで、山の神を選抜すべく百戦錬磨の名物監督指導のもとで坂道夏期講習を行った。まずは小柄な部員二人を背に乗せて四つん這いで走る朝のラジオ体操でウォーミングアップを行ったあと、つづら折りの急な坂道を韋駄天のごとく駆け上る。そして、部員の適性を見極めて山の神にふさわしい人物を抜擢するというものだ。
すると、ひとり涼しい顔で平然と坂道を上り続ける者がいた。彼こそがのちに山の神として箱根駅伝で新たなドラマをつくる伝説の男ーー。実は天狗の末裔だった。
部員たちは日夜、擬似コースで練習するなどトレーニングに余念がない。特に往路五区の箱根の山越えは、往路の最大のポイントでありクライマックスでもある。上りが得意な歴代の山の神を生み出し、彼らが繰り広げる激しいデッドヒートは、正月早々手に汗握る見どころの連続だ。
そこで、山の神を選抜すべく百戦錬磨の名物監督指導のもとで坂道夏期講習を行った。まずは小柄な部員二人を背に乗せて四つん這いで走る朝のラジオ体操でウォーミングアップを行ったあと、つづら折りの急な坂道を韋駄天のごとく駆け上る。そして、部員の適性を見極めて山の神にふさわしい人物を抜擢するというものだ。
すると、ひとり涼しい顔で平然と坂道を上り続ける者がいた。彼こそがのちに山の神として箱根駅伝で新たなドラマをつくる伝説の男ーー。実は天狗の末裔だった。
青春
公開:20/08/30 07:02
スクーのお題
「坂道夏期講習」
「二人乗りラジオ体操」
箱根駅伝
往路
優勝
大学
部員
五区
山越え
1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。
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