百舌鳥(もず)のお話

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―じいじ、こんなんみつけた。
そう言って崇(たかし)はカラカラに干からびたカエルを差し出した。
―あー、それは百舌鳥(もず)の仕業やな。百舌鳥はな、獲物をすぐに食べんと木の棘に突き刺しとくねん。でな、干物みたいにカラカラに乾かしてから食べんねん。
―こわー。もずってこわいなぁ。
―ちっこくてかわいい鳥やけどな。
―かわいいとりなん。でもやることめっちゃこわいやん!
二人が話していると、キーキーキーキーと鋭い音が響き渡った。
―あー、また百舌鳥が鳴いてるわ。
―もずって、うるさいこえでなくねんなー。
 あ、じいじ、おにわにはにわ。
―おぉ、庭に二羽もおったか。
―ちゃうちゃう、とりやなくてうま。ちっちゃいおうまのはにわ。

崇とじいじの住む大阪府堺市は巨大な前方後円墳を擁する百舌鳥古墳群で知られています。古墳の上やまわりは円筒、船形、家形、人物形、動物形など様々な形の埴輪で飾られています。
その他
公開:20/08/30 04:05
更新:20/08/30 04:13

マーモット( 長野県 )

初投稿は2020/8/17。
SSGで作品を読んだり書いたり読んでもらえたりするのは幸せです。趣味はほっつき歩き&走り(ながらの妄想)。
 

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