フラレター
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梅雨。鬱陶しく庭先に降り続ける雨の音を聞いていると、猫の私を胡座の上で抱える爺さんは、手紙を見つめて呟いた。
「会いてえなあ」
私は辟易し、耳を塞ぐように体を丸めた。
爺さんがこんなになったのはさっき届いた手紙のせいだ。手紙の差出人の名前を見た爺さんは仏壇に振り返って「婆さん」と言った。
一通り婆さんの手紙を読み終わった爺さんは窓辺に座り、壊れたロボットのように「会いてえ」と何度も呟いた。やがて、爺さんはそのしわしわの指で便箋の一文字を摘み上げると、窓ガラスに擦りつけた。人差し指でグリグリしながら、子供のような表情で「会いてえよお」と再び呟いた。
ああ、もう。
会いたいならさっさと会いにいけばいいのに。ニンゲンはめんどくさい。
私は爺さんの膝を離れた。そばの座布団の上に丸くなり、窓ガラスに擦り付けられた『愛』という文字を見つめていると、大きな欠伸がでた。
「会いてえなあ」
私は辟易し、耳を塞ぐように体を丸めた。
爺さんがこんなになったのはさっき届いた手紙のせいだ。手紙の差出人の名前を見た爺さんは仏壇に振り返って「婆さん」と言った。
一通り婆さんの手紙を読み終わった爺さんは窓辺に座り、壊れたロボットのように「会いてえ」と何度も呟いた。やがて、爺さんはそのしわしわの指で便箋の一文字を摘み上げると、窓ガラスに擦りつけた。人差し指でグリグリしながら、子供のような表情で「会いてえよお」と再び呟いた。
ああ、もう。
会いたいならさっさと会いにいけばいいのに。ニンゲンはめんどくさい。
私は爺さんの膝を離れた。そばの座布団の上に丸くなり、窓ガラスに擦り付けられた『愛』という文字を見つめていると、大きな欠伸がでた。
その他
公開:20/06/20 00:21
更新:20/06/20 13:20
更新:20/06/20 13:20
マイペースに書いてきます。
感想いただけると嬉しいです。
100 サクラ
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