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目を覚ますと、薄暗く湿った部屋にいた。

見渡すと同じように連れてこられたのだろう、他にも部屋に数人いるのが分かる。

抵抗する様子もなく、顏の筋肉は弛緩しきっており、口から血の混じった唾液を垂れ流しているようなヤツまでいる。

ドアを開け入ってきた男はどういうわけか服を着ていなかった。

隣で力なく呻いているヤツの前で足を止めると、仕事でも始めるかのように手際よく彼の首を斬り落とし、飛び散る血液を掌に溜めた。

変態男の猟奇的趣味なのか、非人道的な人体実験なのか、大量の血液が必要なのだろう、絶命した彼の体を傾け、最後の一滴まで血液を絞り出そうとしているようだ。

男は俺の方を向き、「次はお前だ」と言わんばかりに口角を吊り上げる。

心臓が大きく波打ち、鼓動が速まる。
恐怖のあまりうまく呼吸をすることができない。

男は目を閉じ、髪をかき分け進む指の感触を楽しむように洗髪を始めた。
ミステリー・推理
公開:20/06/20 18:44
更新:20/06/23 22:02

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