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「晴れか……」
晴れた日の朝、私はそうつぶやいた。
占い師なんてこんなものよね。
支度をして外へ出ると、彼がいた。
「おはよ。今日もいい天気だね」
「そうだね」
むすっとした顔で言う。
「どうしたの」
「別に」
歩き出す。
彼は私の隣でニコニコしていた。
「いつもニコニコしているけど、どうしてそんなに能天気になれるの」
「うーん。能天気だからわかんないや」
また彼は笑う。
イラっとした。
「もういい」
「ごめんごめん。でも、本当にわからないんだよ」
「いいわよ。どうせ私は根暗だから」
バチン、と会話を遮ってしまったような気がした。
「……ねえ。今日雨降るってきかなかった」
ふいに、彼が尋ねてくる。
「ええ、それがどうしたの」
「それ、駅前の占い師さんからきかなかった」
「そうよ。だからなに」
「……そっか」
彼はそう言って黙った。
(変な人)
その日はこの雨みたいに、私の心は晴れなかった。
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公開:20/06/19 08:34

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