真夜中のコンビニ
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時は丑三つ時を回った頃、とあるコンビニに幽霊がやって来た。
カラン、コロン、カラン、コロン
その幽霊はとてもこの世のものとは思えないくらい美しい花魁の幽霊だった。
(まあ、この世のものじゃないんですけど・・・)
彼女の背後には世話係らしき老婆が薄明りの提灯を持って付き従っていた。
その花魁は店員の私にこんなお願いをしてきた。
「あちきはここから十里程先にある寺に眠る花魁でありんす。本日はあなた様にお願いを聞いて貰うため参上した次第で御座います」
「どのような?」
「実はこの屋敷の隣に伊右衛門と言う名の者が住んでおります。その者の家に貼ってあるお札を剥がして欲しいのです。あの忌々しいお札があるせいであちきは愛おしい伊右衛門様に御目通り出来ません。どうかどうか、お願いします。あちきの願いを叶えてくれるならこれはあなたに差し上げます」
彼女は私に金細工の櫛を差し出した。
「まあ、それくらいなら」
カラン、コロン、カラン、コロン
その幽霊はとてもこの世のものとは思えないくらい美しい花魁の幽霊だった。
(まあ、この世のものじゃないんですけど・・・)
彼女の背後には世話係らしき老婆が薄明りの提灯を持って付き従っていた。
その花魁は店員の私にこんなお願いをしてきた。
「あちきはここから十里程先にある寺に眠る花魁でありんす。本日はあなた様にお願いを聞いて貰うため参上した次第で御座います」
「どのような?」
「実はこの屋敷の隣に伊右衛門と言う名の者が住んでおります。その者の家に貼ってあるお札を剥がして欲しいのです。あの忌々しいお札があるせいであちきは愛おしい伊右衛門様に御目通り出来ません。どうかどうか、お願いします。あちきの願いを叶えてくれるならこれはあなたに差し上げます」
彼女は私に金細工の櫛を差し出した。
「まあ、それくらいなら」
公開:20/06/19 22:08
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