カラフルなシマウマ

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ある国境地帯では、長期間にわたり紛争が絶えることがなかった。連日、上空には戦闘機が飛び交い、地上では戦車が走行していた。
紛争は次第に泥沼化し、敵味方関係なく多くの死傷者が出て、兵士たちは疲弊していった。
そんな劣悪な戦況が続くなか、兵士たちは白黒の縞模様の動物を戦場で見かけるようになっていた。
シマウマにそっくりなのだが、国境地帯の気候条件でいるはずがなく、銃弾を撃ち込んでも平気で駆け抜けていった。しかも地上だけでなく空でも見かけることがあったという。兵士たちは、極度の緊迫した状況下で幻覚を見ているものだと思い込んでいた。
ある夜、その不思議な動物が白黒からカラフルなシマウマのような姿に変化した。そして天高く飛び立ち、一筋の光となって燦然と輝きながら消え去った。
明くる朝、紛争は国際機関の調停により突如終結した。
国境地帯では現在、カラフルなシマウマの像が平和のシンボルとして建っている。
その他
公開:20/06/19 19:53
更新:20/06/19 21:11
スクーのお題 カラフルなシマウマ 国境地帯 紛争 戦闘機 戦車 兵士 縞模様 戦場 平和

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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