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割れないコップ。少女の宝物だ。
薄いガラス、簡素で華奢なデザイン。それなのに、落としても投げつけても握りしめても、絶対に割れない。
バブル期を生き、早逝した母の形見でもある。
「私の青春時代はね、何をするにもイケイケだったのよ。ムチャしすぎて痛い目にも遭ったわ。でもね、世の中が希望に満ちていたから、みんな元気で、へこたれたり心が折れたりすることは絶対になかった。このコップみたいにね」
希望に満ちた世の中って、どんな世の中なんだろう。いまという時代を生きる少女には想像もつかなかった。
もう一つ、不思議に感じることがあった。
割れないコップに水を注ぐと、水は炭酸水に変わる。シュワシュワと音を立てて弾け出す。
「バブルって、どんな世の中だったんだろうな……」
元気よく泡立つ炭酸水に目をやりながら、少女は思いを馳せる。
薄いガラス、簡素で華奢なデザイン。それなのに、落としても投げつけても握りしめても、絶対に割れない。
バブル期を生き、早逝した母の形見でもある。
「私の青春時代はね、何をするにもイケイケだったのよ。ムチャしすぎて痛い目にも遭ったわ。でもね、世の中が希望に満ちていたから、みんな元気で、へこたれたり心が折れたりすることは絶対になかった。このコップみたいにね」
希望に満ちた世の中って、どんな世の中なんだろう。いまという時代を生きる少女には想像もつかなかった。
もう一つ、不思議に感じることがあった。
割れないコップに水を注ぐと、水は炭酸水に変わる。シュワシュワと音を立てて弾け出す。
「バブルって、どんな世の中だったんだろうな……」
元気よく泡立つ炭酸水に目をやりながら、少女は思いを馳せる。
その他
公開:20/06/18 14:09
40代半ばの会社員。家族は妻、中3息子、小6娘。つらつらと文章をつづるのが好きです。読んでいただけたら嬉しいです。
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