酔篝(よいかがり)-4

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「意味解って言ってんのか」
「意味解らないで、あんな歌持ち出したの?」
山尾の声はいつもより低かった。上目遣いの目尻に皴が見えた。机を挟んだ距離は、手を伸ばせば届くくらい近かった。
「……冗談よ。今更この程度でひるまないわ」
逆手に取られた。ひるんだ俺は完全に馬鹿だ。叩いてやれば停学確定。上手くすれば退学かも知れない。この学校ともこいつともおさらば出来る。
「母親より年上の、地味でブスなババアには、ちょっと的外れだったわね」

どれが一番刺さったかは判らない。
何でそんな事したかも判らない。
胸を突きのけられて膝が崩れた。椅子に引っ掛かって尻餅ついた俺を見下ろす山尾の、口紅が斜めに擦れてるのに気付いたとこで、頭が真っ白になって、生徒指導室を飛び出した。
食ってもない馬酔木の毒が回ったみたいに、足がふらついた。
トイレの鏡の情けない顔。唇の端の赤は、口紅かと思ったけど、歯の当たった傷だった。
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公開:20/06/18 09:33

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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