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出会い頭にUターンしにくくて、境内の夜店を冷かして歩いた。手続き上は転校済み。あえて線引く事もないかも知れないけど、距離は腕一本空いたままだった。
「……いい齢こいて、女一人で夜祭りかよ」
「ええ。いけない?」
「普通さ、旦那とか子供と来んじゃねぇの?」
「いないわどっちも。鹿野君こそ、彼女と来なかったの?」
「ガキの頃から転勤族で、作る暇なんざねぇよ」
思いがけず会って、しなくていい話ばっかり。周りの目に俺らはどう映ってんのかな、無性に気になる。浴衣に草履、眼鏡外して髪も結った山尾。昼間のTシャツにジーンズ、高校生丸出しの俺。ちぐはぐで全然釣り合わない。
いっそ適当に切り上げればいいのに。学校の――元学校か――誰かに出くわせば、即行帰れるのに。その方が断然正解なのに。
「そろそろ帰りましょうか」
よりによって山尾に言われた。
店仕舞いの早い田舎の祭り。スマホの時計は二十一時過ぎだった。
「……いい齢こいて、女一人で夜祭りかよ」
「ええ。いけない?」
「普通さ、旦那とか子供と来んじゃねぇの?」
「いないわどっちも。鹿野君こそ、彼女と来なかったの?」
「ガキの頃から転勤族で、作る暇なんざねぇよ」
思いがけず会って、しなくていい話ばっかり。周りの目に俺らはどう映ってんのかな、無性に気になる。浴衣に草履、眼鏡外して髪も結った山尾。昼間のTシャツにジーンズ、高校生丸出しの俺。ちぐはぐで全然釣り合わない。
いっそ適当に切り上げればいいのに。学校の――元学校か――誰かに出くわせば、即行帰れるのに。その方が断然正解なのに。
「そろそろ帰りましょうか」
よりによって山尾に言われた。
店仕舞いの早い田舎の祭り。スマホの時計は二十一時過ぎだった。
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公開:20/06/18 20:06
更新:20/06/18 21:57
更新:20/06/18 21:57
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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