過去からの手紙

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通学カバンの中を探していると、くしゃくしゃになった花柄の便箋が出てきた。君からだった。
君は携帯を持ってなくて、僕たちはいつも手紙で会う約束を取り付けていた。
でも、ある日手紙は来なかった。その日を境に、僕と君との関係は終わってしまった。
今思えば、僕から手紙を送ればよかったんだと思う。でも、あの頃の僕はガキらしく意地を張って、気がつかないフリをした。
そして、君はそのまま僕のもとを去っていった。
僕はあの時君を恨んだけど、馬鹿なのは僕の方だ。君は手紙を出してくれていたのに、僕が気がつかなかったんだ。
泣きそうになりながら、僕は君にもう一度会うために便箋を開けた。破れないように丁寧に。君の字はあの時のまま、丸っこい。
中身はデートのお誘いだった。僕は嬉しくて、悔しくて、涙を堪えて返事を書いた。
そして、それを焚き火に投げ入れた。手紙が燃えて煙になっていく。
どうか天国の君に届きますように。
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公開:20/06/17 12:00

竜泉寺成田

物書きを目指している大学3年生です!
noteで短編を、Twitterでは140字小説を毎日投稿しているのでよかったら見てってください〜!!
ショートショートガーデンは思いつき次第更新します!難しい!いつかさわやかな作品を書きたい!
楽しんでもらえたら幸いです〜。
note:https://note.com/ryusenji_narita
Twitter:@ryusenji_narita

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