281. 可愛いお守り

客が激減して閉園の危機に晒されている遊園地を立て直して欲しいという仕事の依頼を受けた。
シマウマ遊園地の観覧車のイラストはみなシマウマで、一両毎に色を変えている。
妙に首の長い象みたいな厚い面構えの従業員の提案で、白と他の色の組み合わせで、緑なら健康、黄色なら金運、ピンクなら恋愛が成就すると謳い、乗ると願いが叶うと喜ばれていた。しかしその列は温暖な時期のみだった。
せっかくのご利益を何とか出来ないものか？俺は少し離れたら処から眺めていてハタと思い付いた。
そうだ！観覧車の椅子にヒーターを付け、お守りを作ればいいんだ！
早速次の日から議論を重ね出来るだけ精巧になるようにし、一月後ついに完成した。
観覧車乗り場のそばの小さな出店でそれを売りはじめSNSで拡散すると、掌に乗る観覧車が可愛いと大きな話題となり、集客も間もなく元に戻った。

その様子に俺は安堵し、ウホウホッと高らかにドラミングした。