猿山の飼育員

1
3

「うわぁ、すごい暴れてますね」
とある動物園の猿山で、新人の飼育員が顔をひきつらせていた。ベテラン飼育員は困った笑みを浮かべながら言った。
「昔はおとなしい猿だったらしいぜ。俺がここに来た時はもうこんな感じだったけどな」
猿たちは縦横無尽に駆け回り、果物の残骸を投げつけ、飼育員に向かい牙を剥き出し、それは好き放題に暴れていた。
「躾がなってない、とかですか?」
「うーん。こいつら絶滅危惧種らしいのよ。上から大切に扱えというお達しがねぇ」
「僕ら舐められているのでは?」
「まぁ、何をされても優しく接するしかねぇんだわ」

ため息まじりな飼育員たちを尻目に、猿たちは口々に言い合っていた。
「すっかり絶滅してしまったなぁ」
「俺たちがこれだけ暴れ回っているのにね」
「今の飼育員、めちゃくちゃ優しいもん」
「それに比べて昔の飼育員は怖かったよね」
「あー、通称……何だっけ?」
「雷おじさん、だよ」
その他
公開:20/06/15 23:23
更新:20/06/15 23:31
絶滅飼育員 スクー

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容