真夜中のコンビニ

「すみません。スマホの落し物がありませんでしたか」
「少々お待ちください。あなたが落としたのは銀のスマホですか。金のスマホですか。それともガラスが割れた普通のスマホですか」
「私が落としたのは普通のスマホです」
「あなたが正直な方ですね。そのご褒美にあなたには金のスマホを差し上げましょう」
「いやいや、私のスマホを返して下さい」
「わかりました。では拾ったのは私なので謝礼の二割を貰いますね」
バキッ

「すみません。落し物がありませんでしたか」
「何をなくしたのですか」
「過去の記憶です」
「ああ、届いています。このフラッシュメモリーですね。これを使えばすぐにフラッシュバックして鮮明な過去の記憶を思い出す事でしょう。でも、いいのですか。この記憶はあなたにとって忘れ去りたい残酷な過去かもしれませんよ。知らない方が幸せに暮らせるのでは」
「私は知りたいのです。過去の私に何があったのか」