One man’s fault is another’s lesson

息子は正直。
それで良いと思っていたが……。
最近彼女と別れたらしい。原因は彼女が作ったお弁当を酷評したから。
父親に似てイケメンでもないし、その上、父親に似て思いやりもない。
親子揃って私が作ったご飯を「美味しい」と言ってくれたこともない。
私は息子に夕飯作りを手伝わせるため、
「男も料理くらい出来なきゃ」と挑発した。
その苦労が分かれば、元カノさんの思いに気づくはず。目的はそっち。
だが……。
「料理って簡単じゃん」
そつなくこなす息子に苛々する。
絶対に鼻っ柱を圧し折りたい！
「あんた、お父さんそっくり」
「急に何？」
「そう言われて嬉しくないでしょ？」
「うん」
「反面教師にしなさい！本当にそっくり！嫌でしょ？ねぇ、嫌でしょ？」
「……電話掛けてくる」
「誰に？」
「元カノ」
「掛けてきなさい」



ありがとう。元カノさん。
息子の鼻っ柱を圧し折ってくれて。
そしてごめんなさい。