くびがながいぞう

アフリカで首の長い象が発見されたというニュースは、全世界を駆け巡った。

いや実際、象なのかどうか。皮膚は確かに灰色の象のそれ。ただ、鼻は短く首が長い。灰色のキリンというのが正しいようにも思えた。
この生物は何なのか。テレビでは専門家達が議論を繰り広げた。

「間違いなく象！」
そう声高に主張するのは、バラエティ番組でも人気の動物学の権威。

「しかし、DNA鑑定ではキリンに近いと…」
学者が反論する。

「それはまだ不確かな情報でしょ？警戒心の強い象がこの首長象と一緒に暮らしている。それが何よりの証拠。人間だってそれぞれ身体的特徴はある。首が長いのはこの象の個性です！」

動物学の権威の勢いが勝ったまま、放送は終了した。

「お疲れ様でした。…しかし先生、いつまで押し通すつもりで？」
マネージャーが言う。

「…私が言い張り、世間が認める限り、私は動物学の権威だよ」
男はニヤリと嗤った。