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魔が差し、悪事に手を染めようとした時、思わず「やっぱりダメだ…」なんて口から出た事はないだろうか?
それ、本当に貴方の声でしたか?
私は過去に3度、そんな呟きをした事がある。3度とも、その声に違和感を感じた。
だってその声は私の声ではなかったのだから。
だとすれば声の主は一体誰だ?
『気付いてしまいましたね』
喉から勝手に声が出た。やはり、私の声ではない。
『自身の喉を御覧なさい』
声に従い鏡を見ると、喉に仏様が宿っていた。
『いいですか。私はいつでも貴方を見ています。軽率な行動は控え、真っ当に生きるのです』
仏様はそう言うと、喉仏の中へと戻って行った。

そんな出来事を友人に話したところ、「空耳だろ」とバカにされた。
そして友人は私に改めて悪事に手を染めるよう勧めてきた。
…悪いがその話には乗れない。
だって友人を見ると喉仏は潰れ、大声が出せなくなっている。
悪事は声高に叫べないからな。
公開:20/06/15 18:33

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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