6
7
私は、H湖に架かる橋の途中にあるB島の、倒産したホテルの常駐清掃を担当しています。海を見ながらモップをかけたり窓を拭いたり。エレベーターは動きませんが、効率的な清掃手順を作成して、朝八時から午後六時まで楽しく一人で働いています。
先日、屋上で休憩していると敷地に黒い車が入ってきました。私は会社の人だろうと思い、急いで階段を下りました。すると、玄関に「議員秘書」みたいな女性が立っていて、
「爪切を回収しにきました」
と言いました。
「爪切はありませんが、栓抜ならありました」
と私は答えました。それは朝、大浴場で見つけたものです。
その人は私を睨み付けました。私は急いでその栓抜を見せました。するとその人は、私の手から栓抜をひったくり、「ありました。間違いありません。この爪切です」と電話をかけながら帰っていきました。
これがその写真です。
スマホには、油埃に塗れた栓抜が写っていた。
先日、屋上で休憩していると敷地に黒い車が入ってきました。私は会社の人だろうと思い、急いで階段を下りました。すると、玄関に「議員秘書」みたいな女性が立っていて、
「爪切を回収しにきました」
と言いました。
「爪切はありませんが、栓抜ならありました」
と私は答えました。それは朝、大浴場で見つけたものです。
その人は私を睨み付けました。私は急いでその栓抜を見せました。するとその人は、私の手から栓抜をひったくり、「ありました。間違いありません。この爪切です」と電話をかけながら帰っていきました。
これがその写真です。
スマホには、油埃に塗れた栓抜が写っていた。
その他
公開:20/06/16 17:53
更新:20/06/17 09:56
更新:20/06/17 09:56
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
ログインするとコメントを投稿できます