観覧石

「苦土かんらん石って知ってるかい？　宝石で言うところのペリドットになる石のことなんだけど」
店主は薄暗い店内で、様々な雑貨に囲まれながら言った。

今日君に紹介するのはこれ。観覧石って言うんだけど。今話したかんらん石の仲間みたいなものだよ。
え？　どちらも同じ呼び方だから違いが分からないって？　大丈夫。今から説明するから。

店主は紙の上に両方の“かんらん石”の漢字を書いた。ああ、確かに違う。観覧と橄欖。難しい字だ。二つ目に書かれたのが本来のかんらん石の書き方。

で、この観覧石、実は光に透かすとあらゆる世界の絶景が見えるんだ。まるで観覧車に乗って景色を眺めているかのように。

なるほどそれで観覧石。僕は納得して頷いていると店主は続けた。

けれど景色を楽しめる回数が決まってるんだ。九度だけ。少ないと思うかい？　けど、仕方ないんだよ。

なんと言っても、苦土（くど）、かんらん石、だからね。