スー

あれは昨日テレビを見ていた時のこと。新種の動物が発見されたとニュースで報道されていた。その動物の名前はスー。一瞬ヌーの間違いかと思った。
専門家の話によると、スーはヌーと見た目はあまり変わらず、体長はヌーの半分。特筆すべきはその生態で、ヌーはエサを求め草原の大移動をするが、スーはヌーの大群に紛れて川渡りをするらしい。
ヌーがワニに食べられる危険を犯して移動するすぐ横で、スーはしれっと川を渡るのだ。スーは体が小さい分足も速いため、ワニからも簡単に逃げられる。
「スーとヌーの関係は、まるでサメとコバンザメのようだ。名前こそ似ているが、種族的な関係性はない。コバンザメも大きな魚にくっついて移動したり、おこぼれをもらったりするが、スーもヌーの存在なしにはここまで生き残ってこれなかったでしょう。」と専門家が言う。

うーん、俺は人間界のヌーなのか、スーなのか…そんな疑問がふと頭をよぎった。