幻のシマウマ

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男は雨のなかの車内で草原を見つめていた。
その手には猟銃が握られている。
男は幻のシマウマが現れるのを待っていた。
生活に困窮しており、そのシマウマを捕らえて売るしか道はなかったのだ。
探し始めて一週間。
今日現れなければ町を去ろう……。
そう決めていた。
先ほどまで降っていた強い雨がほどなくしてあがる。
男は廃車寸前の車から出て周囲を見回した。
「やっぱりいない、か」
その時、視界の端で色鮮やかな物体を捉えた。
目を凝らすと、数百メートル先に七色の縞模様を持つシマウマが立っている。
「本当に存在してたんだ」
男はその美しさに嘆息したが、すぐに目的を思い出した。
猟銃で狙いを定め、撃つ。
が、距離があるせいで当たらない。
男はしびれを切らして車を発進させた。
しかし、どんなに速度を上げても距離が縮まらない。
「なんでだよ……」
やがてその虹色のシマウマは消えてしまった。
その他
公開:20/06/14 19:41
スクー カラフルなシマウマ

田坂惇一

ショートショートに魅入られて自分でも書いてみようと挑戦しています。
悪口でもちょっとした感想でも、コメントいただけると嬉しいです。

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