巣ごもり観覧車
4
4
「何してるの?さっきっから、手のひら広げてクルクル回して」
高校生の息子に話しかけると、『まずいっ』というような顔をしてリビングを出て行ってしまった。
「やることが無いんだったら、本でも読んだら?お母さんのショートショートを貸してあげるわよ」
答えは返ってこなかった。
1週間後、息子が「今夜ちょっと時間頂戴」と言い出した。
「なんで?」
「ん、なんでも」
夜になると息子はリビングに荷物を運び入れた。透明のアクリル板に障子紙を張ったものとサーチライト。部屋を暗くすると何やら指に括り付けて、ライトをつける。「始めます」
あ、影絵だ。
大きく開いた手のひらが映る。それがゆっくりと回り始める。指からカゴがぶらさっている。それぞれ色が付いている。全部で5色。それらがグルグルと回り続ける。
「横浜の観覧車見に行きたいってため息ついてたから。今はこれで我慢してよ」
ぶっきらぼうな声が聞こえた。
高校生の息子に話しかけると、『まずいっ』というような顔をしてリビングを出て行ってしまった。
「やることが無いんだったら、本でも読んだら?お母さんのショートショートを貸してあげるわよ」
答えは返ってこなかった。
1週間後、息子が「今夜ちょっと時間頂戴」と言い出した。
「なんで?」
「ん、なんでも」
夜になると息子はリビングに荷物を運び入れた。透明のアクリル板に障子紙を張ったものとサーチライト。部屋を暗くすると何やら指に括り付けて、ライトをつける。「始めます」
あ、影絵だ。
大きく開いた手のひらが映る。それがゆっくりと回り始める。指からカゴがぶらさっている。それぞれ色が付いている。全部で5色。それらがグルグルと回り続ける。
「横浜の観覧車見に行きたいってため息ついてたから。今はこれで我慢してよ」
ぶっきらぼうな声が聞こえた。
公開:20/06/15 11:12
手のひら観覧車
スクー
文章を書くのが大好きです。
ログインするとコメントを投稿できます