思い出

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タンスの記憶を探ってみた。
本棚やタンスなど、様々な家具にカメラとハードディスクが搭載され、内包されている物の確認が出来る。
祖父の家に施錠されているタンスがある。昔から家に置かれているが、中身は何も無いらしい。何の為に、ずっと家に置いているのか気になっていた。
記憶を辿ると、50年前に子供の頃の父と祖母がかくれんぼでもしていたのか頻繁に出入りしていた。
隠れていると大体、祖父が見つけては連れ出していた。
時が少し進み、最後に一度だけ祖父が隠れており、その後は誰も入らなかった。

先日、父が他界し、この家には誰もいないため、タンスは捨てることになった。運び出す際、古いためか南京錠が解錠もなしに開いた。
外見は茶色だが、中は赤黒いタンスで、古いせいか少し酸っぱい匂いを放っていた。

あとで気付いたのが、祖父が隠れていた日は祖父の命日だったようだ。
SF
公開:20/06/15 06:03

こめだわら( 東京都 )

20代後半、奈良県出身。
文章構成等々のご指摘をいただけますと幸いです。
400字を超える小説はnoteに書こうと思います。
https://note.com/rrr040339

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