宿命のわたしたち

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僕たちは宿命的な出会いだった。彼女とはとても気が合う。食事の好みも服装も映画も何もかも一緒。そして結婚して家庭を築いた。
一男一女に恵まれた。やがて彼らもそれぞれよく似た相手と結婚し、似たような孫たちが生まれた。親戚が集まるとまるで同じ人種だ。

何十年もが過ぎた。孫たち、ひ孫たちもみんなよく似ていてみんなそっくりの顔立ちと性格。
いつ頃だったろうか、AIが何でもやる社会になった。政治も経済も文化もAIに任せる。能力競争はAIがする。学者、芸能人やアスリートはみんなAIロボットだ。ノーベル賞もAIが貰う。差別なく他人と似た人間が好まれた。人間が能力を磨いて競うのは悪とされた。生命科学技術による能力の平準化だ。それから速かった。今や同じ個人が産まれる。グローバルに平準化が進んだ。男女の性差もなくなるそうだ。
同質の人間ばかりになれば争いもなく平和な世界になるだろう。これは人類の宿命なのだ。
その他
公開:20/06/13 15:54

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

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