何処?

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静かだ
曇っているのか、陽が昇る前なのか、
グレーな景色だ。
此処はどこだろう
小さな交差点に私は立っている。
十字に広がる道、街並みに沿ってのびる木々、マンションらしき建物もある。

360度ぐるりと見回してみた。
何かおかしい。
人がいない、人が住んでいる気配がない。
車も無い。
何かのジオラマの中にいる気分になって来た。
ちょっと不安な気持ちになって来た時、少し離れた場所に一人の老人が立っていた。
「こちらへ来なさい」
私は人のいた事の嬉しさで、駆け寄っていた。
老人は
「あそこへ お入りなさい」
唯一灯りの付いている小さな家を指さして言った。

灯りの付いている家の戸を開けたら、にぎやかな声がした。
『人がいた』
乱雑に脱ぎ捨ててある靴を見て、私の入る隙間がなかったので、揃えてあげようと一歩足を踏み入れたとたん、
眩しい光のさしこむ、柔らかな布団の中にいた。
ミステリー・推理
公開:20/06/13 14:43

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