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その古着屋には、古着屋らしからぬスーツが置いてあった。どう見ても真新しい。
不思議がる客に、老店主がおもむろに説明を始めた。
「これはな、『息切れするスーツ』と言うんじゃよ」
「何ですか? それ」
「とある国の独裁者が世界征服を企て、国を挙げて製造させたんじゃ。着た人は途端に息切れし、疲れてやる気をなくすから『息切れするスーツ』。このスーツをライバル国へ大量に送り込み、労働者たちをヘトヘトにさせて経済を弱体化させようとした。しかし……」
「どうなったの?」
「部下たちが『息切れするスーツ』の意味を取り違えたんじゃ。出来上がったのは、人が着た途端、スーツの方が息切れして布地がくたびれてしまう代物だった。つまり、使い物にならなかったんじゃな」
この一着が古着屋へとたどり着いた理由に、客は納得した。
不思議がる客に、老店主がおもむろに説明を始めた。
「これはな、『息切れするスーツ』と言うんじゃよ」
「何ですか? それ」
「とある国の独裁者が世界征服を企て、国を挙げて製造させたんじゃ。着た人は途端に息切れし、疲れてやる気をなくすから『息切れするスーツ』。このスーツをライバル国へ大量に送り込み、労働者たちをヘトヘトにさせて経済を弱体化させようとした。しかし……」
「どうなったの?」
「部下たちが『息切れするスーツ』の意味を取り違えたんじゃ。出来上がったのは、人が着た途端、スーツの方が息切れして布地がくたびれてしまう代物だった。つまり、使い物にならなかったんじゃな」
この一着が古着屋へとたどり着いた理由に、客は納得した。
その他
公開:20/06/13 12:27
40代半ばの会社員。家族は妻、中3息子、小6娘。つらつらと文章をつづるのが好きです。読んでいただけたら嬉しいです。
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